治療について/SIADHの治療

原疾患の治療

SIADHの原因は、中枢神経系疾患や肺疾患など多岐にわたります。またビンクリスチンやカルバマゼピンなど、がんやてんかんの治療で用いられる薬剤も抗利尿ホルモン(ADH)の分泌を亢進します。
ADH分泌に影響する薬剤の使用があれば、中止や変更を検討します。

さらに詳しくSIADHの原因

SIADHをきたす可能性のある疾患があれば治療を開始し、その経過から病因を確認します。ただし、SIADHの原疾患は、頭部外傷や脳梗塞、脳腫瘍、肺小細胞癌など、完治が困難な疾患が多いといえます。原疾患の治療により改善が認められれば、SIADHも同時に改善することが期待できますが、原疾患の抜本的治療が難しい場合はSIADHの管理も困難になることが予想されます。さらに、SIADHの原疾患は多岐にわたるため、原因が1つとは限らず、原疾患が特定できないケースも多く見られます。

有馬寛:日内会誌. 2014 ; 103(4) : 849-854.
山口秀樹ほか:日内会誌. 2016 ; 105(4) : 667-675.

監修/有馬 寛. 間脳下垂体機能障害と先天性腎性尿崩症および関連疾患の診療ガイドライン2023年版. 日本内分泌学会雑誌;2023. P21-23.
松浦友一 : 日腎会誌. 2012 ; 54(7) : 1016-1022.

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